Gettysburgへの道
南北戦争へ
19世紀のアメリカは、商工業中心の北部と、黒人奴隷制の上に、イギリス綿紡績工業への綿花栽培の大プランテーション農業を中心とする南部とに分かれていった。
北部(自由州)はすでに奴隷制の必要はなく、またイギリスの工業製品に対抗するため保護関税を求めた。他方、南部(奴隷州)は保護関税に反対し、イギリスからの安い工業製品の輸入を求めていた。
両者は11州対11州として均衡を保っていた。対立は、西部の開拓による新たな州の成立に際し起こった。その州が自由州となるか奴隷州となるかは、各州から2名ずつ選出される上院の議席構成、すなわち連邦の政策決定に直結したのである。
1820年、奴隷制容認のミズーリ州が連邦に加わる際、「ミズーリ協定」という妥協が締結された。「ミズーリ州を奴隷州とする代わりに、今後北緯36°30′以上の新州では奴隷制を認めない。」というものであった。
しかし、1854年、「カンザス・ネブラスカ法」が作られ、この原則は撤廃された。「北緯36°30′以上に新たにカンザス準州、ネブラスカ準州を設けるが、そこでの奴隷制の可否は各州の人民の決定に委ねる。」というものであった。北部の中にも、「準州を設置して住民に解放し大陸横断鉄道をスムーズに作るため、南部の勢力と妥協したい。」という勢力があり、このような政策が決まったのであった。このように、北部も奴隷制について分裂していった。
このような状況に対し、リンカーンら北部の奴隷制拡大反対論者たちは共和党を新たに結成し、相手の民主党の分裂もあり、ついに1860年の大統領選挙でリンカーンが大統領に当選した。
これに対し、すぐサウス・カロライナ、ミシシッピ、フロリダ、アラバマ、ジョージア、ルイジアナ、テキサスの7州が連邦を脱退。「南部連合」を結成し、独自の「大統領」、「議会」を選出した。
1861年大統領に就任したリンカーンは、この動きに立ちはだかり、1861年4月12日、サウス・カロライナ州内の孤立したサムター要塞に支援物資を送ろうとしたところを南部連合軍に攻撃されたため、ついに開戦となったのであった。ヴァージニア、アーカンソー、ノース・カロライナ、テネシーの4州も連邦を脱退して南部連合に加わり、南部連合は11州となった。
開戦からゲティスバーグへ
当初、奴隷制廃止のために戦争するという意識は北部の大勢ではなかった。南部の解放奴隷が大量に北部になだれ込むことを人々は懸念していた。あくまでも南部の分離独立を阻み、南部内に奴隷制を封じ込めたい、というのが本音であった。
南部は分離独立したかったので、攻めて来る北軍を阻止し、イギリスなどヨーロッパ諸国に独立を認知させればよかった。
北部は、南部深くに侵攻、制圧し、独立への意志を挫くという困難な戦略に直面した。当初とった戦術は、①南部を海上封鎖し、ヨーロッパとの連絡を断ち切ること、②ミシシッピ川を制圧し、南部を分断し、海上封鎖とあいまって南部を囲む形で封鎖して連邦に戻るよう圧力をかけること、③南部の「首都」ヴァージニア州リッチモンドに侵攻し制圧すること、などであった。
人口、兵力、工業生産力で北部は圧倒的に有利だったが、南部にはリー将軍のような優秀な戦争指導者がいて、善戦した。当初リッチモンドに侵攻しようとした北軍は、緒戦で手痛い敗北を喫した。北軍の司令官の中には南部に同情的な者もいて、戦闘意志に欠ける面が一部あった。
西部ではグラント将軍が電撃的勢いでミシシッピ川沿岸を南下進軍した。
1862年には海上封鎖軍がニューオーリンズを落とした。
これに対し、東部戦線では北軍はリッチモンドめざしてヴァージニア州に侵攻するが、南軍の抵抗にあい戦果は少なかった。
→北軍 →南軍
戦争が長期化する様相を見せる中、リンカーン大統領は、イギリスなど外国が戦争に介入したり、南部の独立を承認しないように、ついに1863年1月、「奴隷解放令」を出し、戦争の大義名分を「奴隷制廃止」という新たなものにし、国際社会に訴えたのであった。
1863年6月、しだいに食糧など長期戦に耐え切れなくなってきた南軍は、リー将軍の下、北部に侵攻して劇的戦果をあげ、食糧も調達し、こちらも国際社会にアピールしようとした。そして北軍が受けてたったのがペンシルベニア州ゲティスバーグであった。
ゲティスバーグには当時の雰囲気を伝える建物が多く、実際に当時のままのものも残り、建物にその印が付けられている。
ゲティスバーグの戦いへ
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