ジェームズタウン砦
3隻の船が最終的に碇を下ろしたところに三角形の砦、ジェームズ砦が建設された。ジェームズ川に面して出入り口が作られ、まわりを木の杭で囲み、両サイドの高台に砲台を設置したものであった。現地のインフォメーション・センターにその模型があり、実際の遺跡には復元図がある。ジェームズの名は時のイギリス国王ジェームズ１世にちなんでいる。
実際に砦のあったところは少し高台だった。また、周囲の環境はジェームズ川の湿地帯であり、食料事情も悪く、到着した1607年の秋までに1/3の人々が赤痢や腸チフスが死んでしまった。
杭の柵が復元されており、その中に亡くなった人々の墓や初期の総督ジョン・スミスの像がある。また、近くに入植300年を記念したモニュメントや資料館(撮影禁止が残念。人骨まで展示していた)がある。
上の右は外から撮った資料館。下は最初の1607〜1608年に植民した中の262人の名前を記したプレート。
本来のジェームズタウンの場所から1.6キロ離れたところに、歴史的テーマ・パーク「ジェームズタウン・セトゥルメント」があり、そこに1610年時のジェームズタウンを復元したものが建設されている。最初のジェームズ砦は1608年に一度焼け、試行錯誤を繰り返した後、1610年に元のような三角形の形のものとして復活した。
これらの建物は、当時の記録や、現在もイギリスに残る同時代の家を参照して建設されたとのこと。 木で建物の骨組みを作り、壁は粘土･砂・藁を混ぜたもので塗り、屋根は川原に生えていた葦を束ねたものや板で葺いた。
公共施設として、まず倉庫、戦いの司令部、教会が作られた。教会はイギリス国教会のもので、人々は一日２回の礼拝を要求されたという。後のピューリタンほどではないが、この時代の普通の人もけっこう信仰心が厚かったのだと思った。教会はこれらの建物と同じ様式でやや大きめに作られていたが、私はうっかり建物外部の写真を撮り忘れてしまったようだ。内部の感じは下のようである。
それぞれの家の中も復元されていて、スタッフが往時のいでたちで説明してくれる。各家には６、７人が住んだとのこと。慣れない土地での病気、食料の慢性的欠乏(イギリス本国からの供給にほぼ依存していたため)、時に関係の悪化したポウハタン・インディアンとの戦いなどにより厳しい生活が続いた。当初来た人々に大工や鉄工など職人が少なかったのも不自由であった。女性は1608年に2人が初めてやって来てから徐々に増えていった。1620年には花嫁候補が大勢来たそうだ。これらのつつましい生活をしていた人々が今日の大国USAの基礎を作ったのだ。
人々は、くつろぎのときは、カードやさいころのゲーム、チェッカー、ローン・ボウリング(草の上で玉をころがし的の玉に接近させることを競うようなゲーム)などをしたり、リコーダーを演奏したりしていた。
1610年、ポウハタン・インディアンに教えてもらったタバコ葉栽培が始まり、イギリスでこれの人気が出て、ジェームズタウンはついに宝を探り当てた。以後、タバコ栽培を求めて移民は増え、ヴァージニア各地に新しい植民の場所が広がっていった。ジェームズタウンは1699年、ウィリアムズバーグにとって替わられるまでヴァージア植民地の首都であった。